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   在宅医療専門

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往診日記DIARY

22.春夏秋冬

今年は全国的に寒い正月になった。福山にもわずかに雪が舞った。春の足音が待ち遠しいと言いながら、今年もあっという間に四つの季節が廻っていくのだろう。

人気アニメ「サザエさん」が日本人に愛される理由のひとつに、さりげなく画面を彩る季節感があげられる。医療や介護の現場にも季節感があるといいと思う。

私が以前勤務していた緩和ケア病棟ではささやかながら時節ごとのイベントが行われ、時に私もその一役を担った。2月は節分。鬼の面をかぶり、点滴棒を手に病室を回る。はじめは患者さんやご家族の反応が心配だったが、多くの患者さんは笑顔で、私たちに向け豆をまいてくれた。3月はもちろん雛祭り。お雛様は病棟師長で、私がお内裏様。リクエストがあれば患者さんとのツーショットも。慎ましやかに化粧するその姿に、「病魔はなぜこの人を・・・」と恨めしく思うこともあった。4月はランドセルを背負い、5月は鯉のぼりに扮した。恥ずかしさもあったが、患者さんの身体や心の痛みをいくらかでも「日本の四季」が癒してくれることを期待して。

昨年のクリスマスシーズン、私たちスタッフはサンタやトナカイの出で立ちで患者さんの家を回った。患家の反応はおおむね二つに分かれた。喜んで迎えてくれる人と関心を示さない人。終始無関心の患者さんをサンタの姿で診察するのはさすがに辛いものだが、普段無口な人が「可愛い」と微笑んでくれた時は素直に嬉しかった。

在宅は季節を身近に感じることのできる医療現場だ。往診は自然に時候の挨拶から始まる。今頃なら「今朝はよく冷えましたね」とか「今年の正月はいかがでしたか」。帰り際にある患者さんから「家で正月を迎えられてうれしい。孫の入学式を見届けるまでよろしく頼みます」。今年も、福山の春夏秋冬を多くの患者さんと共に味わいたいと思う。

  画 植田映一 尾道市向島在住

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