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往診日記DIARY

36.マスク

 
 インフルエンザやノロなどのウィルス感染が流行するこの季節。街にはマスクをつけた人が目立つ。

80歳代のある男性患者。最近まで会社を切り盛りしてきた社長さんだ。脳卒中の後遺症で半身が不自由だが、年齢の割に元気でしっかりされている。

いつもは挨拶すると「倍返し」とばかり大きな声が返って来るのだが、今日はなぜか応答がない。心なしか表情も暗く、いつもの活気がない。話を進めようにも、不思議なくらい会話がかみ合ってこない。

いったい社長の身に何が・・・。合点がいかないながら、脳卒中の再発を懸念した私は横にいるお嫁さんに脳外科受診を勧めた。

ところが、お嫁さんは余裕の表情。笑みを浮かべ、私の口元を指差しながら「マ・ス・ク」。やっと納得。言われた通りマスクをはずすと、社長の表情は緩み、いつもの彼に戻った。彼は相手の口の動きから言葉の内容を読み取っていたのだ。耳が不自由だということを、私は今まで気付かなかった。頭の下がる思いがした。

「最近マスクをするスタッフさんが多くて困る」とぼやく社長。マスクは感染防止やエチケットという観点から、特にこの時期必要なものかもしれない。しかし、患者さんからは、冷たい、表情がわからない、距離を感じるなどマイナス評価も聞かれる。

私たちはマスクをはずしたまま次のお宅に向かった。玄関に上がるなり「インフルエンザが流行しています。スタッフの皆さん、手洗いとマスクの着用をお願いします」との貼紙。思わず苦笑い。あわててマスクを取りに車に戻った。

医療従事者のマスク、皆さんはどう感じますか?

 画 植田映一 尾道市向島在住

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