『24時間365日』在宅医療に外すことのできない大事な看板である。福山で往診専門クリニックを開業して1年半、自ら選んだ仕事に喜びを感じながらも、この看板を何度恨めしく眺めたことだろう。体調の思わしくない時、釣りやゴルフに誘われた時、学会に出席したい時、ふらっと旅に出たい時、決まってこの看板に手足を縛られている感じがした。そんなことを思っていた時、旅を愛するある先輩医師から電話が入った。遠方に行くので、その間担当している在宅患者さんをお願いしたいとのこと。チャンス到来とばかり「はい」と即答した。それを機に、どちらかが福山を空けるときはお互いに留守番をすることになった。在宅医療について気軽に話し合おうと『二人だけの勉強会』も同時に始まった。その後、身近な医師にも少しずつ声をかけ、数名ではあるが毎月集まって在宅医療に関する情報交換会を行っている。話題は高齢者の栄養管理、がんの疼痛緩和、認知症の治療、困難症例への対応、在宅医療機器の使用法、褥瘡の処置など多岐にわたる。その会も今月で12回目となり、『福山在宅どうしよう会』として新たなスタートを切ることになった。
在宅患者さんを一人の医師で24時間支えていくのはやはり無理があると思う。地域で在宅医療を担う医師のネットワークができれば、参加する医師にとってもメリットは大きいし、何より患者さんに大きな安心をもたらすことができるのではないだろうか。今月の『福山在宅どうしよう会』は市内の訪問看護ステーション、保険薬局にも声をかけ多職種で症例検討会を行った。やや不真面目な動機で始まったこの会ではあるが、今後さらに多くの医師、医療スタッフの参加をいただき、福山に在宅医療の根をはるきっかけになればと願っている。
画 植田映一 尾道市向島在住
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