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中国新聞連載

人生の最期はどこで?

「死が自然なものに思えてきた」。これは死期が迫ったある患者さんの言葉。入院中は、死の恐怖に眠れない日が続いた。見かねた家族が、家に連れ帰る決断をした。息子が孫たちを叱る声。野菜を刻む包丁の音。あつかましくベッドに入りこむ猫。家には、慣れ親しんだ、いつも通りの生活があった。その中に居ると、自分の命は終わってしまうのでなく子や孫へと引き継がれていく、そんな不思議な安堵感を覚えるようになったという。

現在、約8割の日本人が病院で最期を迎える。病院では、医師や看護師が24時間体制で患者の治療に当たっている。患者や家族が、特に手出し、口出しをしなくても、ことは運んでいく。安心、安全である一方、その人らしさはどこかに押し込められてしまう。

医師を対象にしたある研修会でのひとこま。講師から「最期をどこで過ごしたいですか」との質問に、参加者の約9割が「自宅」と答えた。それが「病院」を知り尽くした医師の回答だけに、考えさせられるものがある。病院は、基本的に病気の治療を行う場所である。結果として病院で亡くなることがあるにせよ、少なくとも人生の仕上げに適した場所とは言えないように思う。

かと言って、家で最期を迎えるにはクリアすべき課題が多いのも事実。家族への負担、急変時の対応、経済的な問題・・・。核家族化もそれを阻む。病院には病院の良さがあり、家には家の良さがある。最近は、介護施設でも看取りに向けた取り組みが始まっている。最期をどこで過ごすか、それは人生をどう締めくくるかに通ずる。私たちは、このことにもう少しこだわってもいいのではなかろうか。


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