先月、朝のNHKテレビ「おはよう日本」で在宅医療を担う薬剤師の活動が取り上げられた。福山で活躍する調剤薬局の薬剤師も登場。薬局を飛び出し、患者さん宅で膝を交えながら薬について説明する薬剤師の姿が生き生きと映し出された。
私の往診先は高齢者だけの世帯が多い。二人暮らしのどちらも認知症というケースも少なくない。老・老介護から認・認介護へと時代は確実に進んでいる。薬をまとめて1週間分内服する人、箪笥の引出しから色あせた古い薬を山ほど出してくる人・・・。私たちの処方した薬が、果たして患者さんの健康にプラスになっているのかどうか不安を抱くこともしばしば。そこで頼りになるのが訪問薬剤師である。例えば、カレンダーに薬をセットし、ホームヘルパーに確認してもらうことで飲み忘れや飲み過ぎを最小限に抑えることができる。訪問薬剤師は薬だけでなく生活全般についても気軽に相談に乗ってくれる。ある高齢の患者さん夫婦は、彼女のことを親しみをこめて「薬屋のおねえさん」と呼ぶ。実に力強い味方だ。
また、がんの患者さんが安心して自宅で過ごせるよう、私たちの診察や訪問看護に対応して医療用麻薬などの薬剤を24時間体制で自宅に届けてくれるサービスも好評だ。薬剤師は、今や在宅ケアチームの一員として欠くことのできない重要な存在となっている。
今回、薬剤師の取材にあわせて私の往診にも2日間カメラが入った。美人ディレクターのソフトな問いかけに、気が付けば在宅医療を熱く語っていた。私の顔がテレビに映ったのはわずか2秒、しかも無言。やや拍子抜けの感はあるが「薬屋のおねえさん」のおかげで私も貴重なテレビ出演の機会をいただいた。
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