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   在宅医療専門

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往診日記DIARY

24.歯の見える連携

私はできるだけ人に歯を見せないことにしている。歯並びの悪さは半端でなく、子どもの頃からコンプレックスを感じていた。幼くして歯周病で歯科通いをし、随分痛い思いもした。当然の結果として、大の歯医者嫌いとなった。

そんな私が口腔ケアに関心を持つようになったのは今から8年前。私の担当するある入院患者が、殊の外楽しみにしていたのが歯科衛生士の病室訪問だった。「先生の歯もきれいにしてあげましょう」という衛生士の誘いに、私も勇気を出して歯科の診察台に横になった。近くで聞こえるギーという治療機器の音。過去の忌まわしい記憶がよみがえる。まず歯科医の診察があり、「毎日の歯磨き、お疲れでしょう」と労いの言葉。その後口腔ケアを受けることに。時々痛みを感じたものの、ケアの後は何とも言えない爽快感。舌で味わう歯のつるつるした感じをしばらく楽しみたくて、その日は夕食を抜いた。

先日、歯科衛生士を中心とした研修会で在宅医療の話をする機会をいただいた。口腔ケアは口の健康だけでなく、誤嚥性肺炎の予防など在宅患者のQOLの向上に大きく貢献している。最後まで口から美味しく食事をいただきたい。それは多くの人が望むところである。口の渇きに悩まされていたあるがん患者は、「口の中までこんなに丁寧に診てもらえるなんて・・・」と歯科スタッフの自宅への訪問を喜んだ。

その研修会を主宰する歯科の先生のコメントが印象的。「地域医療において『顔の見える連携』とともに『歯の見える連携』も大切に」。今や在宅医療は口腔ケア抜きには考えられない。私自身『歯の見える連携』には躊躇してしまうが、歯科スタッフとの和の大切さを再認識するいい機会となった。


 画 植田映一 尾道市向島在住

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